控訴の趣旨
原審を破棄し、被控訴人は控訴人に対して10万円を支払え、
訴訟費用は被控訴人の負担とする、との判決を求める。

控訴理由
性の権利は基本的人権、というWHOの理念の下、性の権利が尊重される社会を目指し、社会的コンセンサスが形成されている。
ホルモン治療は、医療行為であるものの、性の権利であり、国際疾病分類において「性の健康」というカテゴリーに分類され、治療の選択は個人の自己決定によることが基本とされている。
治療の選択に医師の同意を要するという旧来のあり方は根拠を失しており、自認する性別に即したホルモン治療を受ける権利は、個人の保護されるべき重要な法的利益と考えられる。旧来の医療的制約のあり方は、憲法13条に違反しており、厳に否定されなければならない。
適合手術が済んでいる者が、医療機関でホルモン治療を受けられないとするならば、「等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重される」という、LGBT理解増進法の理念が生活保護において空文化されていることになる。
一方、適合手術済の私が長期年月に渡りホルモン治療を受けないならば、深刻な健康リスクが生じることは医学上の定説であり、私はホルモン治療を受ける必要性がある。

私の皮膚異常と同じものが長女にも存在しており、公衆衛生当局（札幌市、国）はそれも承知している。 長女と私に、特定不能の皮膚異常が確かに存在しており、且つ自然発生的に生じたものではないことは明らかである。特定不能の皮膚異常は、特定不能の病原性の存在を裏付けており、目視において明らかに病原性の罹患が確認される。
病原性のリスクが紛れもなく確認される状況で、この病原性を特定する責任は、私ではなく公衆衛生当局の所管である。しかし当局は全く関与せず、細胞採取も問診も、聞き取りも行わない。
本来であれば、当局はこの病原性を特定し、医療機関に付し治療へ導かなければならない。しかし当初より「モルゲロン病という病気はないので対応できない」というのである。
このことは即ち、関与しなくても問題にはならない合理的理由があることを意味する。この病原性には公衆衛生上の問題にならないという何らかの秘密がある筈である。
モルゲロン病を研究するwebサイトでは、モルゲロン病は、人為的に特別な操作を加えない限り、人は絶対に罹患しないという特殊性が指摘されている。この特殊性はどういうことかというと、特定個人にのみ罹患させ、公衆衛生には全く影響を及ぼすことなく殺傷できる生物兵器であるというのである。
長女や私の病原性にこの特殊性、「公衆衛生には全く影響を及ぼさない」という秘密があることで、はじめて当局が関与しないことにきちんとした理由がみいだせ、謎が解けるのである。
当局が、もしこの秘密を把握していないならば、皮膚異常の様相を捉えた画像を前にして、当局が公衆衛生上の問題からこれを除外することなど不可能であり、私個人の問題へと押しやることは絶対にできないのである。
長女や私の病原性は、必ずこの特殊性を持たなければならないのである。
この特殊性にもかかわらず長女や私が罹患しているということは、長女や私に人為的に特別な操作が加えられたことを裏付けており、その経緯についても、当局は把握していなければならないのである。
原審で、「モルゲロン病の健康リスクは深刻であり、処置を止めれば短期間で確実に死に至るか、または自死するものである。扶助がなければ、私の生活は立ち行かない」と私は陳述したが、被控訴人はそれを否定していない。これは、被控訴人が、私の陳述が真実であることを認めているのである。
原審は「これがモルゲロン病なる病気として治療が必要であると認める証拠がない」というが、
モルゲロン病は定義が未完成で、未確認であり、肯定の立証も否定の立証も直接的にはできないものであり、長女や私の置かれているような現状が、即ち公衆衛生特局がモルゲロン病ではないと否定をせず、私も確定的にモルゲロン病の立証ができないという状態が、限りなくモルゲロン病であることの蓋然性が高いといえるのである。
私がモルゲロン病であると立証できなくても、モルゲロン病は否定されない。モルゲロン病が否定されるのは、モルゲロン病ではないと除外し否定された時であり、モルゲロン病であると肯定の立証がされない時ではない。
「それがモルゲロン病という病気である証拠がない」と言うが、モルゲロン病だから直接的な証拠がないのであり、この病原性がモルゲロン病ではないと除外し否定されていないことはモルゲロン病であると肯定されていることと同じなのである。当局はこれを、確認できる既知の定義可能な何某かの病原性であると特定しさえすれば、モルゲロン病の除外し否定ができるのに、それをしていないからである。
当局がモルゲロン病のを除外し否定をしていないということが、モルゲロン病である蓋然性が限りなく高く、モルゲロン病はそのような蓋然性の高さによってしか立証できないのである。
原審は、直接的には立証できないモルゲロン病を直接的に立証しなければ、たとえそれによる健康リスクが深刻でも、短期間で死に至っても、自死しても仕方がないと言っているのであり、このような判決は憲法の理念に反しており厳に否定されなければならない。
モルゲロン病であると立証できないが得体の知れない病原性が存在しているのに、それが何であるかを特定もしないで、「モルゲロン病という病気はないので対応できない」というのは、最初から、「それはモルゲロン病だが、それは存在しないから対応できない」と言っているのと同じであり矛盾しているのである。本来的には「それはモルゲロン病ではないから対応できない」と言わなければならないのである。
モルゲロン病は肯定できなくても否定はできるのであるから、当局が否定しないのであれば、肯定されなくてはいけないのである。
モルゲロン病の措置負担を私のサイフのみに負わせることに、法的根拠があるのか？